AQUA-MATE Plus(J) はトンネル背面などに生じた空洞への充填用に開発された非水ガラス系可塑状グラウト材で、充填ポイントまで2液を圧送し混合管を使用してミキシング後充填補強を行う注入材です。
1.特徴
2液等量混合
2液を別々に調合し先端部分で等量混合するのみで注入可能です。
瞬時に増粘
2液を混合後、瞬時に増粘し材料分離を起こさず可塑状となるため、クラック等の隙間からの漏出がほとんどありません。
また、水中不分離性を有しているため湧水がある空洞内でも充填可能です。
優れた充填性
可塑状保持時間が長いため空洞の隅々まで充填が可能です。
また、ブリージングもほとんど発生しません。
長距離圧送が可能
2000m以上の長距離圧送が可能ですので、充填ポイント付近にミキサー等が設置できない環境にも対応可能です。
2.性状
項 目 | AQUA-MATE Plus(J) A剤 | AQUA-MATE Plus(J) B剤 |
---|---|---|
外 観 | 白色粉末 | 灰黄色粉末 |
比 重 | 2.7 | 2.6 |
水素イオン濃度(pH) | 8.0±0.5 (調合液濃度) | 9.0±0.5 (調合液濃度) |
臭 気 | なし | なし |
溶 解 性 | 水に分散 | 水に分散 |
3.荷姿
AQUA-MATE Plus(J) A剤 | AQUA-MATE Plus(J) B剤 | |
---|---|---|
荷 姿 | 10kg 紙袋 | 24kg 紙袋 |
4.配合
A液 200ℓ | B液 200ℓ |
---|---|
高炉セメントB種 140 ㎏ | AQUA-MATE Plus(J) B剤 24 ㎏ |
AQUA-MATE Plus(J) A剤 10 ㎏ | |
水 150.4 ℓ | 水 190.8 ℓ |
5.一軸圧縮強度
28日後 約1.5(N/mm2)
6.フロー値 (JHS A313準拠)
80 ~ 155mm
7.使用上の注意
B剤の主成分はベントナイトですので分散に時間を要します。そのためB液用の貯留槽を用意し予めB液の調合をある程度行ってから注入を開始して下さい。 AQUA-MATE Plus(J) B剤の分散時間は約20分を目安として下さい。次ページ図1.注入プラント イメージ参照。
《調合方法》
A液:
↓ 撹拌
↓ 撹拌
↓ 撹拌
① 所用量の水を張り、撹拌しながらAQUA-MATE Plus(J) A剤 を投入し分散させます。
② 次に高炉セメントB種を投入し充分に分散させます。
B液:
↓ 撹拌
↓ 撹拌
① 所用量の水を張り、撹拌しながらAQUA-MATE Plus(J) B剤 を投入し分散させます。
② 約20分攪拌しベントナイト成分を膨潤させます。
《取扱い上の注意》
1.取扱い中は、保護眼がね、保護手袋、保護マスクを着用し衣服や身体に触れないようにして下さい。
2.取扱い後は、手洗い、うがい、洗顔を十分行って下さい。
3.こぼれた場合は、飛散した物を掃き集めて、空容器に回収して下さい。
4.工事関係者以外は取り扱わないで下さい。
5.この物質及び容器を廃棄する場合は、産業廃棄物処理専門業者に委託して下さい。
《保管上の注意》
1.冷暗所に保管して下さい。
2.開封後は速やかにご使用下さい。
《応急処置》
1.眼に入った場合は、大量の水で少なくとも15分以上洗浄し、直ちに医師の診察を受けて下さい。
2.誤って飲み込んだ場合は、コップ2杯程度の水を飲んだ後吐き出して下さい。
吐き出せない場合や違和感が残る場合は医師の診察を受けて下さい。
3.皮膚に付着した場合は流水で洗い流した後、必要に応じて医師の診断を受けて下さい。
《参考情報》
製品安全データシート(MSDS)を参考にして下さい。
図1・注入プラント イメージ
● A液及びB液調合用ミキサーは注入を効率化するため高速ミキサーの御使用をお勧めします。
● A液貯留槽は必要に応じて設置して下さい。
● A液・B液貯留槽内にはサンドポンプ等の循環装置を設置して下さい。
● A液・B液貯留槽の容量はA・B液の吐出量等に応じて決定して下さい。
● A液・B液が1:1で混合されるよう流量計を2台設置して下さい。
● A液、B液合流直後瞬時に増粘しますので混合管はスタティックミキサーなどの混合効率のよい装置を使用して下さい。
8.性能確認試験
矢板工法トンネルの背面空洞注入工設計・施工要領
3.設計 P.15 表3.3 背面空洞注入材の品質規格(2)
流動性
フロー値
試験項目 | 測定値(mm) | 規格値(mm) | 試験方法 | |
---|---|---|---|---|
静置時 | 直後 | 122 | 80 ~ 155 | JHS 313 コンシステンシー試験方法のシリンダー法 |
60分後 | 92 | 100以下 | ||
打撃時 | 直後 | 182 | 130 ~ 205 | JIS R 5201 フロー試験 フローコーンに代わりJHS 313 コンシステンシー試験方法のシリンダーを使用 |
60分後 | 140 | 170以下 |
強度
一軸圧縮強度 材令28日
No. | 測定値(N/mm2) | 規格値(N/mm2) | 試験方法 |
---|---|---|---|
1 | 1.987 | 1.5以上 | JIS A 1108による 供試体サイズφ50×100mm |
2 | 2.094 | ||
3 | 2.287 | ||
平均値 | 2.123 |
比重
測定値(kN/m3) | 規格値(kN/m3) | 試験方法 | |||
---|---|---|---|---|---|
1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均値 | 11 ~15 | マッドバランスによる測定値 |
12.6 | 12.6 | 12.6 | 12.6 |
充填性
注入時間(min.) | 6 | 吐出量(ℓ/min.) | 30 |
---|
充填状況
表面 | 隙間なく充填されている。 |
---|---|
容器上部の障害物周囲 | 隙間なく充填されている。 |
容器下部の障害物周囲 | 隙間なく充填されている。 |
規格 | 容器内全体に注入材が充填され角材やH型鋼との間にも隙間がなく密実に充填がなされていること。 |
試験方法 | 矢板工法トンネルの背面空洞注入工設計・施工要領 4.8試験方法による。 |
非漏出性
吐出量(ℓ/min.) | 30 | 全注入量(ℓ) | 25 |
---|
注入材深度(mm)
経過時間(min.) | 隙間幅(mm) | ||||
---|---|---|---|---|---|
1 | 3 | 5 | 7 | 10 | |
10 | 35 | 100 | 330 | 350以上 | 350以上 |
30 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 |
60 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 |
規格 | 60分経過後において5mm以下の隙間に完全流出があってはならないこと。 | ||||
試験方法 | 矢板工法トンネルの背面空洞注入工設計・施工要領 4.8試験方法による。ただし、発砲スチロールの幅は50mmとした。 |
水中分離抵抗性
水中分離:なし
経過時間(min.) | pH | 透過率 | ||
---|---|---|---|---|
pH値 | 測定比率(%) | 透過率(%) | 増減比率(%) | |
投入前 | 7.09 | - | 100 | - |
投入直後 | 7.09 | ±0 | 100 | ±0 |
10 | 7.13 | +0.56 | 100 | ±0 |
30 | 7.24 | +2.11 | 99.4 | -0.6 |
60 | 7.29 | +2.82 | 99.4 | -0.6 |
規格 | 投入直後から60分経過後のpH測定比率が±10%であること。 | 注入材を投入する前の水の測定値と、投入後60分経過後の水の測定値の増減比率が±2%であること。 | ||
試験方法 | 矢板工法トンネルの背面空洞注入工設計・施工要領 4.8試験方法による |
非収縮性
28日後の収縮量(mm) | No.1 | 3.7 | 28日後の収縮率(%) | No.1 | 0.37 |
No.2 | 4.6 | No.2 | 0.46 | ||
No.3 | 4.0 | No.3 | 0.40 | ||
平均値 | 4.1 | 平均値 | 0.41 | ||
規格 | 28日硬化後の収縮量が2cm以下であること。 | ||||
試験方法 | 矢板工法トンネルの背面空洞注入工設計・施工要領 4.8試験方法による |